2020.06.19

The Burn 米澤シェフインタビュー後編 食文化のサステナビリティのため、私たちが選ぶべきこと

ー 牛肉を食べることが環境に負荷を与える

「The Burn」をオープンした頃は、ヴィーガン料理なんてほとんど話題にはなりませんでした。しかし、この1年半くらいで一気に関心が集まってきたと感じています。「サステナビリティ(持続可能性)」という言葉の普及、SDGs(持続可能な開発目標)への達成意識が影響しているのは疑問の余地がありません。
その文脈で言うと、食のマーケットを考えた時、肉の消費もう限界にきていると思っています。牛は生産過程において非常に多くの穀物の量を消費し、牛自身が出す呼吸や排泄物などは温室効果の高いメタンガスを多く排出するのです。

 

ー 肉が好き。だからこそ選んだ時々ヴィーガン

僕はお肉が大好きです。しかし、地球環境に悪いとされていることは避けたい。この矛盾に対峙した時、フレキシ・ヴィーガン(柔軟なヴィーガン)、つまり時々ヴィーガンという選択をとるようになりました。週3で食べていたお肉を週2にして、他の日はお野菜の日にするなど、無理ない程度にヴィーガンを楽しむ。これだったら、罪悪感なくお肉を食べる生活が続けられます。肉が好きだからこそ、どうやってお肉の美味しさを享受できる未来を残せるか、環境に配慮しながらも食文化を残せるかというといころを本気で考えていきたいのです。

僕は時々ヴィーガンが1つのジャンルとして確立されればいいなと思っています。そのために、野菜の調理方法や食材の合わせ方をもっと提案していきたし、みんなのヴィーガンライフを後押ししていける仕掛けを作っていきたい。また日本の生産者さんの技術は世界レベル。国内には本当に美味しい野菜がたくさんあるので、純粋にその味の体験を増やしてほしいと思います。

 

ー 身体が回復し、心が潤う菜食生活

僕も何日か肉も魚も食べないヴィーガン生活をしたことがありますが、本当に身体が軽いんです。お肉や魚、特にマグロなどの固体の大きなものは、食べるのにかなりのエネルギーを要します。

 

ー子どもの味覚を第一に。野菜の美味しさを伝える

食育という点でいうと、僕はあまり厳しい制限はしていません。ファストフードを食べたいという子どもたちの気持ちも考慮しつつ、やはり食べ物は身体に蓄積されてしまうものなので、できるだけいいものを食べてほしいという気持ちはあります。
しかし、野菜の苦味、えぐ味を苦手とする子どもも多いですよね。そんな時は、調理方法で甘みを感じさせてください。にんじんなど根野菜はゆっくり加熱するだけで、びっくりするくらい甘くなりますよ。にんじんやパプリカ、じゃがいもなどを、オリーブオイルとにんにくで、ゆっくり弱火にかけ煮上げると、子どもも大好きな味になります。そこにクミンなどスパイスをふると、一気位にレストランの味に。焦がす、乾燥させる、揚げるなど、野菜の調理法は無限大。僕自身もまだまだ野菜の深淵を探求中です。

 

プロフィール
高校卒業後、恵比寿イタリアンレストランで4年間修業。2002年に単身でNYへ渡り、三ツ星レストラン「Jean-Georges」本店で日本人初のスー・シェフに抜擢。帰国後は日本国内の名店で総料理長を務める。「Jean-Georges」の日本進出を機に、レストランのシェフ・ド・キュイジーヌ(料理長)に就任。2018年夏、「The Burn」料理長就任。コロナ危機の最前線で闘う医療従事者のため、トップシェフ達が料理を届けるプロジェクト「Smile Food Project」にも参加。

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