2020.07.30

料理家SHIORIさんインタビュー後編 圧倒的においしいヴィーガン料理を目指したい

―日本人の舌に合うファラフェルサンド

私が立ち上げた『Ballon(バロン)』のファラフェルサンドには、舞茸のグリルやヴィーガンマッシュポテトが入っていたりと、本場とは違う味を楽しめる工夫がたくさんあります。隠し味に醤油も使うなど、日本人の舌に合う味を追求しつつ、目も楽しめるよう盛り付けにもこだわっています。
私のファラフェルサンドのベンチマークとも言えるのが、フランスのマレ地区にある大人気のファラフェル屋、ラス・デ・ファラフェルというお店のもの。そこのファラフェルサンドはファラフェルと野菜、ソースのバランスが絶妙で、一度食べたら病みつき、店はいつも大行列です。そのファラフェルをどうしたら再現できるか。何度も通って試作していたのですが、ある時、せっかく日本で出すんだから日本人に合う味を突き詰めた方がいいんじゃないか、と思うようになりました。研究の末、唯一無二の味がよかったのか、ヴィーガン料理の先輩方もおいしいと言ってくれたりと、みなさん味とボリューム、見た目と存分に楽しんでくれています。

―みんなと「おいしい」を共有できるヴィーガンの魅力

ヴィーガン食の魅力は、食後の軽さもあるのですが、誰とでも一緒に楽しめるという点が大きな魅力だと思っています。食生活や宗教の違いで、食べられるものがバラバラでも、ヴィーガンのお料理は比較的多くの人が食べられる食材を使っています。アレルギーなどで食材に制限がある人でも、一緒に「おいしい」を共有できるって本当に素晴らしいことですよね。
『Ballon』にはファラフェルサンドとともに、豆乳アイスクリームという看板メニューがあります。豆乳アイスクリームを頼んだお客さんの中には、「(子どもは)今日初めてソフトクリーム食べるんです」という言葉や、「(子どもが)アレルギーなので、いつもは乳製品を我慢させていますが、ここならお友だちと一緒に食べれます」といった言葉をかけてくれるお客さんがいます。そんな場面に合うと、誰もが悲しい思いをせずともに食卓を囲める、というヴィーガンのパワーをひしひしと感じ嬉しくなるんです。

−ヴィーガン文化を浸透させるための条件

今の日本のヴィーガン食は、本当に研究されたおいしいものもありますが、その反面ただ単に動物性食品を抜いた、味気ない料理も多いと感じます。ヴィーガンに興味を持った人が初めて食べたヴィーガン料理が美味しくなかった場合、もう二度と選んでくれませんよね。ヴィーガン料理の第一印象が、その人のライフスタイルに大きく影響してくるんです。なので、日本のヴィーガン文化を考える際、大切になってくるのはヴィーガン料理の底上げだと思っています。
精進料理という食文化がある日本は、ヴィーガン食を美味しく作れる土台が整っています。発酵食品という最高の武器も持っていますよね。日本が本気でヴィーガン食に取り組んだら、他の国の追随を許さないレベルに成長するのではないでしょうか。発酵食品でいうと、私がオススメなのは納豆ドレッシング。納豆は旨味の宝庫! これをかければ野菜ももりもり食べられちゃいますよ。

食に関わる企業などが、切磋琢磨してヴィーガン食の美味しさをきちんと追求することで、日本の食文化は一層の多様性を帯びていくのだと思います。Purple Carrotのキットは、想像を超えて、誰にも食べやすい素晴らしい商品です。あのような商品がもっと増えていけば嬉しいですね。「今日はヴィーガンを食べよう!と頑張らなくても、「和食にしようかな、中華かな、いや、ヴィーガンにしようかな」というようにごく自然に食の選択肢の一つにヴィーガン食がある。そんな未来が私の理想なんです。

SHIORI/料理家

レシピ本『作ってあげたい彼ごはん』をはじめ、著書累計は400万部を超える。フランス・イタリア・タイ・ベトナム・台湾・香港・ポルトガル・スペインでの料理修行経験があり、和食にとどまらず世界各国の家庭料理を得意とする。中目黒で100%veganのファラフェルスタンド『Ballon』を経営する。
代官山のアトリエでは6年間料理教室『l’atelier de SHIORI』を主宰し、2020夏からはレッスンの場をオンラインへと移す。一児の母で、家族が喜ぶ家庭料理を幅広く提案している。

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